Wake Up,Girls!

山本寛監督 vs「Wake Up, Girls!」 特別インタビュー企画

02 林田藍里役「永野愛理」編

2014年3月にTVアニメ放送を無事終え、この夏にはツアーや「Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-」出演など、さらなる飛躍を期待される『Wake Up, Girls!』。

キャラクターたちを演じ、ステージに立つ7人は、一体どんな少女たちなのか。『Wake Up, Girls!』監督であり、7人を見出した山本寛監督にインタビューを行ない、その内容を踏まえた個別インタビューをメンバーそれぞれに行なうことで、彼女たちの魅力に迫って行く。

全七回の第二回に登場するのは、メンバーの誰もが頼るしっかり者であり、大学で哲学を専攻する知性派でもある永野愛理だ(聞き手・構成・撮影:中里キリ)。

山本寛監督に聞く『Wake Up, Girls!』「永野愛理」編 七瀬佳乃役「永野愛理」個別インタビュー

山本寛監督に聞く 『Wake Up, Girls!』「永野愛理」編

──それでは、藍里と永野さんについて伺っていきます。監督はアイドルの素質・素養と、アイドルになりたい気持ちってどちらが大事だと思いますか?

山本 気持ちです! 素養というものに関してですが、そこは先ほど話した、「アイドルは人を元気にする存在だ」という話につながります。人を元気にすることは僕にもできるし、貴方にもできる。それがアイドルって存在なんだから、素質なんてないんです。誰かを幸せにできれば、その相手にとってその人はアイドルなんです。ひょっとしたらアイドルになりたいという想いも関係ないかもしれない。そういう場所に立つ機会とチャンスは誰の前にも転がっていると思います。

──藍里といえば早坂のやりとりが印象的ですが、早坂を有能に、松田を平凡に描いた意図はありますか?

山本 彼らに関しては話を転がすための装置、ギミックという部分が大きいです。松田無能と言われていて浅沼くんにはごめんなさいなんだけど(笑)、この2人には何か思い入れがあってこうしたとかではないです。丹下社長を含めて、大人たちは全員そうです。大人たちの人生はぶっちゃけどうなったっていいし、そこまで責任は持てないよと。僕が責任を持つのはアイドルたちだけです。あとは松田に関してはマネージャーとプロデューサーの違いですね。『アイドルマスター』だったらプロデューサーがマネージメントも含めてやるのでスーパーマンになるんですが、それをやると『アイマス』になっちゃうので(笑)。最初に出てくるのはマネージャーで、マネージャーは何もできません。途中で天才Pが出てきますと。それはWUGとの距離感もそうで、四六時中くっついているマネージャーと、ちょっと距離をおいて週に一二回やってくる天才プロデューサー。いわゆるアイドル作品のプロデューサーを2人に分割した部分はあります。

──なるほど。では山本監督から見た「永野愛理」はどんな女の子か伺いたいと思います。

山本 彼女を傷つけるであろうことを敢えて言いますが、芝居はやはり一番下手です。それは折に触れ本人にも言っていますし、オーディションの時から演技面に関してはやはり不安がありました。もちろん、その分彼女の演技を伸ばすためにできるサポートはしてきたつもりです。

──最初はあまり上手くなかったのを敢えて採用したのは、何か光るものがあったわけですよね。

山本 まずひとつは、やはり仙台を舞台にした作品で仙台出身の子がいないと話にならないということですね。もうひとつは、直感です(笑)。実は彼女と別のある子が最後まで競り合っていて、なかなか決まらなかった。最後の決め手はやはり彼女が藍里だな…というひらめきですね。藍里はとりえのない普通の子という設定は決まっていて、ぱっと見たイメージやキャラクター性が合うのは彼女だということで決まりました。

──「永野愛理」と「林田藍里」はイメージとして重なりますか?

山本 イメージは重なりましたが、内面は一番違うかもしれないです。まず共通しているのは、グループのお母さん的存在であること。違うのは、藍里はどこかファン目線でちょっと落ち着かない子なんですが、演じる愛理はすごく芯が通った女の子で。それが良い形につながっていると思います。彼女の演技はまだまだです、まだまだですが、彼女の努力に関しては認めてるんですよ。滑舌も良くなってきている。OAまでは彼女の演技は取り分け叩かれるだろうなぁと覚悟していたんですが、蓋を開けてみたらそうでもなかったし、ファンも増えてきた。彼女の姿勢がキャラクターとうまくマッチしたんだと思います。

──第一回のインタビューで監督が仰っていた「まっさらな素材」というのは…。

山本 一番体現しているのは彼女なんじゃないかと思います。ダンスだけはできるんですが、彼女は声優なので、やはり芝居をしないとね。実は彼女にも言ったんですが、「お前を見てると数年前の花澤香菜を思い出すよ」ってね。初期の棒っぷりといい滑舌の悪さといい。

──花澤さんはそこから抜群に上手くなりました。『Wake Up, Girls!』のアンナ役はちょっと上手すぎて花澤さんと認識できませんでした。

山本 僕もびっくりした。ちょっと変わりすぎましたね。でもそういう例を知ってるからこそ、僕は愛理に張っているというか。そういう存在が化けた時の破壊力は、今若手一二を争う花澤香菜が証明していますからね。

──新人時代の戸松さんや花澤さんを積極的に起用したヤマカンセンサーに何か引っかかるものがあったわけですね。

山本 そうだといいなと思ってます(笑)。こういう話をすると、お前が育てたわけじゃないといつも怒られるんですが(笑)、ただ戸松さんも花澤さんも僕の作品に出た後にすごくブレイクした訳で、こういう風にブレイクしていくんだなという過程は間近で見てきたと思っています。そこで感じたものをWUGのメンバーに伝えていきたいと思います。

山本寛監督から見た『Wake Up, Girls!』
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