Wake Up,Girls!

山本寛監督 vs「Wake Up, Girls!」 特別インタビュー企画

07 島田真夢役「吉岡茉祐」編

 2014年3月にTVアニメ放送を無事終え、この夏にはツアーや「Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-」出演など、さらなる飛躍を期待される『Wake Up, Girls!』。

 キャラクターたちを演じ、ステージに立つ7人は、一体どんな少女たちなのか。『Wake Up,  Girls!』監督であり、7人を見出した山本寛監督にインタビューを行ない、その内容を踏まえた個別インタビューをメンバーそれぞれに行なうことで、作品と彼女たちの魅力に迫って行く。

 全七回の最後となる今回は、ステージではMCとしてトークの交通整理を担当することも多いWUGの頼れるセンター、吉岡茉祐に話を聞いた。(聞き手・構成・撮影:中里キリ)。

山本寛監督に聞く『Wake Up, Girls!』「吉岡茉祐」編 島田真夢役「吉岡茉祐」編個別インタビュー

山本寛監督から見た 『Wake Up, Girls!』

──WUGには真夢という「センター」と佳乃という「リーダー」がいます。それぞれの役割をどう考えているか、できれば現実のアイドルを例に挙げて教えて下さい。

山本 島田真夢を形作る要素は色々あるんですが、僕が理想とするセンターは3人いるんです。キャンディーズの伊藤蘭、ランちゃんと、モーニング娘。の後藤真希、そしてAKB48の前田敦子。3人に共通しているのは、どこか暗いんですね。陰りがあるというか…これはあくまで僕個人の考え方で、大島優子は駄目なのか、渡辺麻友は駄目なのかとおっしゃる人はいると思いますが。僕の考えるセンターのタイプは、グループを離れたピンではあまり輝かない人。わかりやすい話をすれば、僕の周りにはあっちゃん(前田敦子)推しっていなかったんですよ。

──でもAKB48のセンターは誰かと問われたら誰もが前田敦子と答えるわけですね。

山本 総選挙では一位になっちゃう。センターといえば彼女しかいない、そういう存在ですね。吉岡茉祐もそのタイプに近いと思うんですよね。彼女がすごく人気があるとは思わないけど、センターといえば彼女だし、然るべき場所にいる。「リーダー」に関してはいろいろなリーダーがいます。ももいろクローバーZの(百田)夏菜子なんかは、どちらかといえばWUGにおける吉能に近いあり方ですね。リーダーだけど一番お馬鹿な存在。それと対称的なのはやっぱりAKB48で、I-1の近藤麻衣を作るときは高橋みなみを大いに参考にしています。やはりWUGとI-1の関係というのは、僕の中ではももクロとAKB48の関係性なんですね。ああいう鬼軍曹、指揮官的なリーダーもいるし、ちょっと頼りない、ほっておけないリーダーもいる。ともあれリーダーにはどんな形でも求心力が必要なんです。

──センター的な自我の強さと、人をまとめるリーダー性というのは相反する部分もある?

山本 それは必ずしもそうとは言えないと思います。吉能のような人を惹きつけるエゴイストというのも存在するんです。敢えて言うなら、グループ内をまとめる求心力と、もっと広い全体を巻き込んでいくオーラの違いと言えばいいのかな。

──監督に怒られたり、キツいことを言われた時の対応にも性格って出ますよね。

山本 素直に聞いてる子もいるし、納得していない様子の子もいる。どちらもいて面白いんじゃないですか。反応がどうであっても、響けばいいんです。後ろ向きでなければ、今に甘んじていなければいい。さっき話した、シカゴのアニメセントラルで「お前らがたるんでるからステージのセッティングも緩むんだ!」と言った時も、みんながしゅーんとする中、吉岡茉祐だけはくわー、なんだとー! みたいな顔をしてるんですよ(笑)。彼女のああいうスイッチの入った顔を久しぶりに見ました(笑)。

──吉岡さんの自我の強さ、負けん気の強さみたいなところ、監督は実は好ましく思っているのでは?

山本 いいですね、俺は基本ドMなんでね(笑)。個人的には吉岡茉祐は笑顔よりも怒っている顔の方がいいんじゃないかと思うんです(笑)。いい顔するんですよね。

──個性が違う7人がユニットという運命共同体で進むというのは、非常にアイドル的だと思います。

山本 そうですね。7つの個性、キャラクターを選ぶことは強く意識したので、非常にバランスが良いユニットだとは思います。WUGのオーディションは決して、かわいかったり上手かったりを上から順番に選んだわけではないんです。関係性にしても、別にみんなが一緒で仲良しこよしではないんだけど、裏でどうこうとかは全くない。お互いに補完しあう関係なんですね。作中のキャラクターに7つの個性を与えることを考えて選んだメンバーがそう収まっているのは非常に虚実混交なんじゃないかなと思います。だからまゆしぃみたいな特異な存在も周りがうまーく囲んでうまーく輪の中に入れてるんです。

──そういう際立った存在をセンターという立場に置くのは必然であり、酷なところもありますよね。

山本 今の時点では一番しゃべりもできるので、どうしても番組の仕切りとかは茉祐になってしまうんですね。ずっと重責を担わせている部分があります。でもそれに対しては彼女もオンオフがあって、カメラが回るとばっとスイッチが入るので、うまく行けば大女優になれるタイプだと思います

山本寛監督から見た『吉岡茉祐』
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