Wake Up,Girls!

山本寛監督 vs「Wake Up, Girls!」 特別インタビュー企画

03 片山実波役「田中美海」編

2014年3月にTVアニメ放送を無事終え、この夏にはツアーや「Animelo Summer Live 2014 -ONENESS-」出演など、さらなる飛躍を期待される『Wake Up, Girls!』。

キャラクターたちを演じ、ステージに立つ7人は、一体どんな少女たちなのか。『Wake Up, Girls!』監督であり、7人を見出した山本寛監督にインタビューを行ない、その内容を踏まえた個別インタビューをメンバーそれぞれに行なうことで、彼女たちの魅力に迫って行く。

全七回の第三回に登場するのは、元気で明るく前向きでおいしいものが好きで…と役柄そのまま? な存在、田中美海だ(聞き手・構成・撮影:中里キリ)。

山本寛監督に聞く『Wake Up, Girls!』「田中美海」編 片山実波役「田中美海」個別インタビュー

山本寛監督に聞く 『Wake Up, Girls!』「田中美海」編

──山本監督から見た「田中美海」はどんな女の子ですか?

山本 オーディションの話からすると、田中美海はセンターになっていたかもしれないんですよ。茉祐と美海をどちらをセンターにするか迷ったんですが、最終的には茉祐という存在がいたから美海は今の実波になったんです。実は茉祐と美海は、どちらも真夢の原型になったキャラクターのオーディションを受けてるんです。どちらをセンター的存在にするか迷うくらい、美海はすごくオーラと存在感がありました。

──太陽型のセンターか引力の強い月型のセンターか、作品が変わる大決断ですね。

山本 そうですね、本当にそうですね。陰か陽かを選んだ瞬間でした。そういう意味では本当に美海のオーラはすごいんですよ。なんなんですかね、あの小悪魔ぶりは。本当に不思議なやつですよ。萌えキャラとして完璧すぎて逆に気持ちわるいぐらいですよ(笑)。なんというのかな、欠点も含めて萌え要素だらけなんです。美海に関しては逆に下世話な部分が必要なんじゃないかと思って、次回予告とかでも試しに「朝も(トイレで)いっぱい出るしね」とか色々言わせてみたんですが、そういうゲスさをものともしない不思議なキャラクターですよ。

──演じる田中さんにも実波的な存在な部分がある?

山本 そこは合わせた部分だし、自然に重なってきた部分でもありますね。みんなの妹的存在でかわいがられて、食いしんぼうで。

──監督はアイドルって「トイレに行く」べきだと思いますか?

山本 行くべきです、当然! アイドルも人間として普通にするべきです。ことさらにファンに見せる必要はないですが(笑)。実はAKB48はそういうことをやってるんですね。今アイドルのバリエーションを増やすことはほとんどAKB48がやっているので、アイドルはトイレに行かないなんてのはとっくに時代遅れで、アイドルファンはもっと先に行ってると思います。

──70年代~80年代的なアイドル像よりは、AKB48的な今のアイドル像を見据えているわけですね。

山本 昔のアイドルがトイレに…というのも実は作られたイメージで、実はラジオとかで結構平気で下ネタ言ってるんですよ。ドリフターズのコントでも結構過激なことをやってますからね。トイレに行かないなんてのは80年代の一部の潮流ですよ。

──そのあたりは事務所やマネージャーのチェックや手が入った雑誌文化と生の放送文化の違いもあるのでは。

山本 それはあると思います。雑誌では作られたアイドル像で、テレビやラジオではぶっちゃけた生のアイドルが見られる部分はあったと思いますね。

──実波は彼女が笑顔ならみんなが安心するような、良い意味で変わらない存在ですが、田中さんは成長や変化はありますか?

山本 美海はそこまでの包容力的なものはない気がしますが、あるのかな、いやないのかな…不思議なやつだな(笑)。美海には何かあざとい部分がある気がするんですよ(笑)。これは監督としての評価じゃなくて一個人としての話ですが、絶対美海にも何か裏があるんじゃないか、あるはずだ…と勘ぐってしまうぐらい、本当に田中美海は裏がない子なんですよ。そんな人間がこの世にいるのか、美海のようなに人間がこの世にいるはずがないと思ってるんですよ。でもいた! 不思議だなぁと思ってみています。それぐらい実波そのものの存在です。

──外のラジオ番組などにゲストとして出演して『Wake Up, Girls!』を宣伝する役割は田中さんと高木さんのコンビが多い印象があります。

山本 それは当然、そういうのに向いた役回りですよね。こういう言い方が適当かはわかりませんが、美佑と美海は良くも悪くも使い勝手がいいです。美佑は器用だから一通りの声が出せて、器用貧乏なところがある。美海は唯一無二のひとつの声が出せる。対称的なところもある2人ですが、陰か陽で言えば陽の存在です。

──そんな田中さんに今後の課題って、ありますか?

山本 今の美海のキャラクターだけで当分はやっていけると思います。ただ、声優という職業自体がひとつの声ではなかなかやっていけないんですね。ふたつみっつないと駄目なんですよ。アイドル声優的な立ち位置でまぁ、10年ぐらいは大丈夫だと思います。でもいつか必ず、そういうアイドル性みたいなものが薄れてくる日は来るんですね。その時に違う引き出しが必要になる。だから僕は今まで関わった声優には必ずちょっと違う役柄をやらせるんです。下野(紘)にオタクをやらせたり、戸松(遥)と花澤(香菜)に30代の役柄をやらせてみたり、ひねるんですね。つきあいも長いですし、今後のことも考えて違う声や引き出しを見つけてあげたいといつも思うんですね。美海にそういう違う声、引き出しが見つかるかな? というのがひとつ心配なところだし、探しているところだと思います。

山本寛監督から見た『Wake Up, Girls!』
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